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出資・払込履行業務
合同会社は出資の払い込みによってその効力を発します。無限責任社員がおらず、有限責任社員しかいない合同会社では債権者保護のため、出資の払い込みまで完了することが必要と考えられているからです。
これは、みなし定款変更による場合も同様です。みなし定款変更による場合も、1ヶ月以内に出資の払い込みをする必要があります。
しかし、合同会社が無限責任社員が加入したり、社員の一部または全部が無限責任社員になり合名会社・合資会社になる場合は、出資の払い込みまでは要件とされていません。
組織変更計画は作成不要
持分会社から株式会社に変更する場合は、組織変更計画の作成が必要ですが、持分会社内で変更する場合は、組織変更計画の作成は不要です。
変更手続きした場合は、2週間以内に本店の所在地において、変更前の会社の解散登記と変更後の設立登記を行わなければいけません。
持分会社の解散
持分会社は総社員の同意などの事由により解散します。また、解散した後でも社員の同意によって会社を継続することができます。
持分会社の解散事由
- 定款で定めた存続期間の満了
- 定款で定めた解散事由の発生
- 総社員の同意
- 社員が欠けたこと
- 合併(合併により消滅した場合のみ)
- 破産手続きの開始
- 解散を命ずる裁判
会社法では、商法では認められなかった社員が一人になることが解散事由とされていません。社員が一人になることが社員が欠けたことにとの定めに変わっています。
また、株式会社と比較した場合、特別決議に変わって総社員の同意というのと、社員が欠けたことの2点が加わっています。これは持分会社は株式会社と違い組織的な運営がなされることから発生する相違点です。
持分会社の継続
持分会社は解散事由によって解散しますが、社員の全部または一部の同意によって清算が完了するまで継続をすることができます。同意をしなかった社員は、継続をすることなった日に退社することになります。
また、存続することとした会社は清算するまでという範囲内で存続することができますので、合併や吸収分割することはでません。
これまでの取引先や従業員との関係を維持し、業務を再開するには会社を継続するか、他の会社に吸収分割される方法で継続することができます。合同会社は株式会社と同様、他の会社に事業の全部を吸収分割することができます。
登記について
継続するとした会社は2週間以内に、その本店の所在地において継続する旨の登記をする必要があります。解散する場合も同様です。
財産分配方法を定めた合名・合資会社
持分会社の清算手続きは、①財産分配方法を定めた合名・合資会社と、②財産分配方法を定めていない合名・合資会社、③合同会社に分けられます。
財産分配方法を定めた合名・合資会社
定款の定め又は総社員の同意によって解散し、清算時の財産処分方法を定款の定め又は、総社員の同意によって定めた場合の、合名・合資会社です。
この場合、清算手続きについてはあらかじめ定款によって財産の処分方法を定めており、それに基づいて行われるため清算人に関する事項については適用されません。
ただし、あらかじめ財産の処分方法が定められても、解散事由が社員の欠乏、合併消滅、破産手続き開始の決定、解散を命ずる判決による場合は、清算人を設けて清算手続きを行います。
清算手続きの相違
清算手続きが、①財産分配方法を定めた合名・合資会社と、②財産分配方法を定めていない合名・合資会社、③合同会社で違うのは債権者に対する取扱いからです。
合名・合資会社の場合は、無限責任社員がいるので株式会社のように債権者催告制度が定めれておりませんが、合同会社においては無限責任社員がいないことから、株式会社と同様に債権者催告制度が定められております。
また、①財産分配方法を定めた合名・合資会社の債権者は、処分方法についての意義申述期間は1ヶ月で、合同会社が清算した場合の債権申し出期間より短く定められています。
財産分配方法を定めた合名・合資会社
解散事由:定款の規定・総社員の同意
清算人制度:適用しない
財産目録および貸借対照表の作成時点:解散日
財産目録および貸借対照表の作成期限:
解散日から2週間(解散後処分方法を定めた場合は、処分方法を定めた日から2週間)
官報公告の期限:解散日から2週間
債権者催告手続:解散日から2週間
債権者催告期限:1ヶ月以上
債権者申出制度:財産処分方法の異議
申し出なかった債権者の扱い:処分方法の承認
残余財産の分配:定款又は総社員の同意した方法による分配
財産分配方法を定めていない合名・合資会社
解散事由:定款の規定・総社員の同意・社員の欠亡・設立取り消し・破産等
清算人制度:適用する
財産目録および貸借対照表の作成時点:解散日・設立無効判決日、取り消し判決日
財産目録および貸借対照表の作成期限:遅滞なく
官報公告の期限:無限責任社員が債務弁済の責務を負うため規定なし
債権者催告手続:無限責任社員が債務弁済の責務を負うため規定なし
債権者催告期限:無限責任社員が債務弁済の責務を負うため規定なし
債権者申出制度:無限責任社員が債務弁済の責務を負うため規定なし
申し出なかった債権者の扱い:無限責任社員が債務弁済の責務を負うため規定なし
残余財産の分配:定款の定め、又は各社員の出資価額に応じた分配
合同会社
解散事由:定款の規定・総社員の同意・社員の欠亡・設立取り消し・破産等
清算人制度:適用する
財産目録および貸借対照表の作成時点:解散日・設立無効判決日、取り消し判決日
財産目録および貸借対照表の作成期限:遅滞なく
官報公告の期限:遅滞なく
債権者催告手続:遅滞なく
債権者催告期限:2ヶ月以上
債権者申出制度:債権の申し出
申し出なかった債権者の扱い:清算から除斥
残余財産の分配:定款の定め、又は各社員の出資価額に応じた分配