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法人無限責任社員
今までは会社が無限責任社員になることを禁止してきましたが、会社法の改正により可能になりました。また、合名会社の社員が1名になった時には解散しなければいけないという規定も削除されましたので、合名会社を100%単独出資する子会社とすることも可能です。
社員加入について
合名会社と合資会社では定款に、新たに加入する社員の氏名を記載すれば即加入することができます。合同会社のように出資の払い込みが要件とされていません。また、出資については法人無限責任社員の場合、自然人のように金銭や現物のほか労務や信用も出資することができます。
労務や信用を出資する場合
無限責任社員は、労務や信用も出資することができます。実際の取引においては、金銭や現物よりも労務や信用の方が重要視されているのが合名会社や合資会社の実態でしょう。そして、持分会社では社員の出資を定款に記載することが義務付けられています。
特段の定めがなければ、この出資割合が出資持分の評価や退社時の持分請求権、連帯債務の負担割合の基準になります。この労務や信用というのは会計上社員法人の貸借対照表に出資として計上されません。
なので、例えば複数の無限責任社員がいて、労務や信用を出資としている場合は、出資をいくらと評価し、責任の割合をどうするかといった問題が生じます。トラブルを避けるためには、別途、定款で債務負担割合を定めるなどする必要が出てきます。
加入社員の責任
持分会社に中途で入社すると、その社員は加入する前からの会社債務についても他の社員と連帯して責任を負います。責任の範囲は法人と個人で変わりませんが、税務については法人税と所得税で取り扱いが異なります。
法人が業務執行する社員の場合の特則
法人が社員である場合も、事実上業務の執行は自然人が行います。そのため、法人が業務を執行する場合、業務を行う自然人を選任して、その者の氏名及び住所を他の社員に通知する必要があります。
社員の退社
社員がなくなったり、合併によって消滅した場合は、法律で退社することになっています。しかし、相続人である一般承継人が持分を承継して退社しないことも定款で定めることで可能です。退社する場合は、持分の払い戻しが必要となります。
退社には法律の定めた事由が発生した場合に退社となる法定退社と、法律の定めによらず任意で退社することのできる任意退社があります。
法定退社:法律で定めのある事由が発生した場合に退社になることです。
定款で定めていた自由の発生
総社員の同意がある場合
死亡や破産手続きの開始
後見開始の審判
除名判決の確定
合併・解散(法人社員が消滅する場合)
破産手続きの開始決定や解散・後見開始の審判を受けたことについては定款の定めておくことで退社事由としないとすることもできます。
任意退社:存続期間を定めていない持分会社の社員は、6ヶ月前に通告することで事業年度終了と共に退社することができます。
相続や合併の場合の特則
基本的に死亡や合併する場合の消滅は法定退社事由となっていますが、定款に定めをすることで相続させ持分を承継させることができます。
株式会社のように、相続や合併によって当然のごとく社員の地位が承継されるものと違い、持分会社は積極的に定款に定めをしていなければ退社することになります。
退社した場合の無限責任の社員
退社した無限責任社員は退社した後も、退社登記をする前の会社の債務については弁済する責任を負います。退社という偶発的な事由や任意で退社することによって債権者を保護する趣旨です
責任の範囲は退社前に有していた自己の持分の範囲内でです。退社時に自己の持分を譲渡した場合も同様です。ただし、退社の登記後2年の間に債権者が弁済請求をしなければ、無限責任社員の債権者に対する弁済責任は消滅します。
退社による持分の払い戻し
持分会社の社員は退社する際に、自己の持分の払い戻しを請求することができます。持分については、退社時の会社の財産状況によることとされています。出資が不動産など金銭外のものでも金銭で払い戻すことができます。
この退社する社員の持分の払い戻しによって、会社の資金が減少するリスクがあることは、会社の所有と経営が分離されていない持分会社においての欠点とされています。
持分会社の会計
持分会社の会計は株式会社と同様、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うとされています。上場会社等においては、証券取引法上の会計基準である企業会計審議会から公表された企業会計の基準が適用されますが、会社法には企業会計に限定するという規定はありません。
会計帳簿・計算書類の作成と保存
持分会社は法務省令の定めるところにより、正確な会計帳簿と各事業年度の計算書類を作成するものとされ10年間の保存義務があります。計算書類については電磁的記録によるものとしている点も株式会社と同様です。
計算書類の閲覧等
合名会社と合資会社の場合:持分会社の社員は会社の営業時間内は、いつでも計算書類の閲覧又は謄写の請求をすることができます。株式会社の場合は議決権の100分の3を有する者に対してのみ請求を認められていましたが、持分会社の場合は、これらの制限はありません。
合同会社の場合:債権者は会社の営業時間内は、いつでも計算書類の閲覧又は謄写の請求をすることができます。