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LLPの新設

新会社法

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LLP(有限責任事業組合)とは?

LLPとはリミテッド・ライアビリティー・パートナーシップの略で、有限責任事業組合のことです。新会社法成立により新しくつくられました。組合、といえば従来からありましたが、これは無限責任でした。

 

つまり、組合の債務については、組合員(構成員、出資者)が無限に責任を負っていくというものです。この無限という部分を有限にしたものが、有限責任事業組合=LLPなのです。

 

ところで、組合と会社の違いはお分かりでしょうか?会社というのは、法人、つまり人として扱うというものです(法律上は)。しかし、組合は、法人ではないので、法律上は人として扱われませんが、それなりにまとまりのある団体のことです。

 

LLPと組合の違い

従来の組合⇒人的無限責任社員からなる団体
有限責人事業組合(LLP)⇒人的有限責任社員からなる団体

 

ところで、有限責任事業組合(LLP)って、以前(改正点その④)でお話した合同会社(LLC)とはどこが違うのでしょう?どちらも起業、共同事業向きの組織です。

 

しかし合同会社は、人的有限責任社員からなるものでしたが、組合、LLPと違うのは、団体ではなく会社=法人だということです。

 

LLC(合同会社)とは?

合同会社(LLC)は、人的有限責任社員からなる会社です。LLPとさほど変わらないじゃん!と思われた方がいるかもしれません。実は、決定的に違う点があるのです。それは、税金が会社にかからないのです!

 

これまでの会社は、まず、会社が法人税を払い、個人も所得税を払うという2度手間がありました。しかし、LLPでは、個人の所得税のみですませることができるのです(税金の一本化、パススルー課税)。

 

そして、有限責任だからもちろん、出資額以上の責任を負うことはありません。株式会社同様、最初に支払ったお金以上の責任は負わなくてよいのです。また、内部自治が認められ利益配分を自由に決めてもいいとされています。

 

英国の場合2000年に創設され、1万を超えるLLPが誕生しました。大手会計事務所、法律事務所、デザイン事務所、IT産業などでの活用が始まっています。

 

シンガポールの場合:米国や英国の制度を検討し、国会にて審議され、現在、海外法務・税務部門で活用されています。

 

日本でも、新会社法が施行されると、このLLPがおおく活用されると思います。企業同士の共同事業や専門家集団向けの組織であるため、ミュージシャン、デザイナー、カフェオーナーや弁護士、公認会計士等の士業の方などでおおく見られるようになるのではないでしょうか。

 

取締役が1人でよい

株式譲渡制限会社では取締役は1人でよくなりました。新会社法施行により、株主総会 + 取締役(1人でもよい)となりました。これによって人数合わせの役員を選ぶ必要がなくなりました。また、不要な役員報酬の支給を見直して、会社の経費のスリム化を図ることが可能です。

 

株式譲渡制限会社

株式譲渡制限会社とは、株式を譲渡するのに会社の承認を得なければならない会社のことです。例えば、Aさんが所有している株式をBさんに譲渡する場合、会社の承認を得なくてはいけないのです。これによって、会社にとって好ましくない者に株式がわたってしまうのを防ぐことができるのです。

 

これに対し、株式譲渡に会社の承認が必要のない会社のことを、公開会社と呼びます。公開会社は株式の譲渡に会社の承認が必要ないので、会社にとってこのましくない人にも株式がわたってしまう危険があります。

 

ということは、会社にとってこのましくない人に株がわたり、敵対的買収がおこなわれる危険があるのです。

 

ニッポン放送株買収問題

過去に、ライブドアの堀江社長がニッポン放送株を買収しようとしたことは、ご存知かと思います。ライブドアグループが株を買占め、筆頭株主になることにより、経営に参加しようとしたわけです。

 

つまり、ニッポン放送は株式譲渡制限会社ではなく、公開会社=株式譲渡に、会社の承認が不要なために、堀江社長に株を買い占められてしまったわけです。

 

なぜ、堀江社長がニッポン放送を狙ったのかは、また別の機会に書くとして、この場合、ニッポン放送が株式譲渡制限会社だったら、このような買収劇はおこらなかったわけです。

 

 

株式公開のメリット

では、なぜ買収される危険があるのに、株式を公開するのでしょうか?理由は、まず、資金調達が容易になることがあります。株式を公開することによって、広く知られるようになり、広範囲にわたって資金を集められるわけです。

 

逆にこのようなメリットを享受する必要がない場合、身内だけで、経営するだとか、広く認知されたくないという会社は、閉鎖会社ということになります。また、営業や人材確保の面で有利になります。

 

上場基準あるいは登録基準をパスした企業ということで社会的信用が得られるからです。また、投資家にとっては企業情報入手が容易になります。証券取引法などで企業内容等の開示(ディスクロージャ)が義務付けられるためです。

 

株式公開のデメリット

敵対的買収の危険:証券市場で自由に株式が売買されることになるので、 投機的取引の対象となったり、 買占めにより経営権が侵害されるおそれがあります。

 

株式事務の増大:公開によって、 株主の異動が頻繁になり株式事務の負担が増大します。

 

企業内容開示義務:決算発表、 有価証券報告書等の提出といった企業内容の開示が必要です。

 

 

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