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持分会社の設立

持分会社

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持分会社の設立

持分会社の場合、定款の認証が不要です。また、登記手続き上、払い込みを証する書類は合名会社・合資会社の場合は不要ですが、合同会社の場合は必要となります。多方面で株式会社と比較して手軽に手続きができます。

 

出資を履行する書面についても会社自身で発行する領収書で足りるとされています。合同会社の場合、設立手続きにおいて出資額の払い込み完了が要件とされていますが、合名会社・合資会社の場合は払い込み完了までは要件とされていません。

 

これは、合名会社・合資会社の場合は社員が無限責任を負うためです。そのため、合名会社・合資会社の場合は無限責任社員になる1名の印鑑証明と会社の届出印さえあれば1日で会社設立手続きを完了させてしまうことも可能です。

 

急に会社の設立が必要となったときに、とりあえず手続きだけ済ませておいて後に株式会社へ組織変更するというために設立するという方法もあります。

 

設立手続き

株式会社の設立手続きと比べてみると、下記の②③④⑥が不要となり、かなり簡略的に手続きすることができます。

①社員予定者の決定
②出資の引き受け(不要)
③定款の認証(不要)
④株式発行事項の決定(不要)
⑤出資払い込み
⑥設立時役員などの選任(不要)
⑦設立の登記

 

持分会社が会社の財産で債務を完済することができなかった場合、不足分を社員全員が連帯して弁済しなければいけません。この連帯責任については2種類存在します。連帯責任の限度額が出資額までに制限された有限責任社員と出資額にかかわらず無限の責任を負う無限責任社員です。

 

この2種類の社員の組み合わせで合名会社・合資会社・合同会社のどれに該当するかが決まり、それに応じた商号を用いることが義務付けられています。社員の構成が変わると会社の種類までもが変わるため、どんな種類の社員で構成されているかがとても大きな意味を持ちます。

 

社員の責任の変更

合名会社・合資会社・合同会社において、無限責任社員と有限責任社員を変更することができます。有限責任社員から無限責任社員へ変更する場合、責任が重くなるため債権者に不利益を与えることはありませんが、逆の場合は注意が必要です。

 

無限責任社員が有限責任社員になる場合、それまでの責任が軽くなりますから無制限に変更が認められるとすると債権者に触れ液になります。そこで有限責任社員になる前から存続していた債務については、その後も無限責任が継続するものとなっています。

 

ただし、社員の責任変更後2年以内に請求あるいは請求予告をしなかった債権者に対する責任は消滅します。

 

 

業務の執行

持分会社においては、株式会社のように所有と経営が厳格に分離されていません。そのため、社員はそれぞれ持分会社の業務を執行し、これに基づき会社を代表します。社員が2人以上いるときは、業務は社員の過半数をもって決定します。

 

法人が業務執行社員である場合は、職務を行うべきものを選任し、その氏名・住所を他の社員に通知することにより執行されます。例外的に定款により、特に業務執行役員を定め、他の者に業務執行権を与えないとすることもできます。

 

その場合、業務執行権を有しない社員は、経営監視のために会社の業務・財産の状況の調査をすることができます。

 

業務執行社員の責任

業務執行社員は善管注意義務を負う他、法令・定款の定めを遵守し持分会社の為に忠実に職務を行います。このため、株式会社の取締役のように責任を負います。例えば、業務執行社員が任務を怠った場合、持分会社に対して連帯して損害賠償責任を負います。

 

競業取引について、自己または第三者のために持分会社の事業の部類に属する取引を行う場合は、他の社員全員の承認を得なければいけません。万一これに違反した場合、業務執行社員はその責めをおいます。

 

その取引によって得た利益が、会社が蒙った損害といえる為、損害額の立証も容易になっています。さらに社員と持分会社の利益が相反する取引や社員の借入について持分会社が保証することについて、社員の過半数の同意を得ることが必要です。万一これに違反して取引した場合は無効となります。

 

代表権について

業務執行社員は全員が持分会社を代表するのが原則です。しかし、定款または定款の定めに基づく互選により業務執行社員の中から代表社員を定めることもできます。持分会社は代表社員がその職務を行った結果、第三者に損害を与えた場合、第三者に与えた損害を賠償します。

 

代表者の行為について法人に責任を負わせるものです。また、職務を執行する有限責任社員がその職務を行う場合、悪意または重大なる過失があった場合、その有限責任社員は第三者に対して損害賠償責任を負います。

 

持分会社に対しても代表訴訟制度があります。なので、持分会社が一定期間内に社員の責任を追及する訴えを起こさなければ、社員自ら持分会社を代表して訴えを提起することができます。

 

これは代表社員による責任追及が期待できない場合に、個々の社員に代表権を認めるというものです。ただし、その追及がその社員のもしくは第三者に不当な利益をもたらすものである場合、持分会社に危害を与える場合は制度の乱用として訴訟提起をすることができません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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