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利益の配当
持分会社の社員は会社に対して利益の配当を請求することができます。持分会社は利益の配当について定款で様々な定めをすることができます。
損益分配の配合
持分会社は利益の配当について定款で定めることができますが、定款で定めをしない場合、社員は出資の割合に応じて利益の配当を製請求することができます。また、定款で利益の配当についてのみ定めをした場合は、損失の分担についても同じ割合で負担するとされます。
有限責任社員の利益の配当に関する責任
持分会社が利益の配当について、有限責任社員に法務省令で定める範囲を超えて配当を行った場合、有限責任社員は持分会社に対して返還する義務を負います。持分会社に対しては全額返還の義務を負いますが、債権者に対しては利益を超える分についてのみの返還義務を負います。
合同会社の特例
合同会社では無限責任社員がいないことから、利益の配当については様々な特例が定められています。
①合同会社が利益の配当日において、その日における配当額を越える利益の配当をすることができません。利益を超える配当が行われることを制限しています。
②①に反して利益を超える配当が行われた場合は、利益を受けた社員は、業務執行社員とその全額を会社に対して返還する義務を負います。ただし、業務執行社員が注意義務を怠らなかったことを証明した場合はその責任を免れます。
③業務執行社員が利益を超える配当を会社に対して弁償した場合は、業務執行社員は利益を受けた社員に対して求償権を行使し、受けた利益の請求をすることができます。ただし、利益を受けた社員は求償権を行使された際に、利益を超えた配当につき善意であること証明した場合は、その請求に応じる義務はありません。
また、この場合はでも利益を受けた社員は、合同会社の債権者に配当額に相当する支払い義務を負いますが、出資額をこえて責任をおうことはありません。
④合同会社が利益の配当をした場合に、配当した事業年度の末日に欠損が生じた場合は、業務執行社員および配当を受けた社員は連帯して会社に欠損額の補填する義務を負います。
資本金額の減少
持分会社の中でも、資本金については考え方が別れています。無限責任社員がいる合名会社・合資会社と有限責任社員しかいない合同会社では大きくことなります。登記においても資本金額が登記事項となっている合同会社に対して、合名会社・合資会社は登記事項にはなっていません。
また、同じ有限責任社員からなる株式会社でも合同会社とは資本金の概念が違ってきます。株式の異動により資本金が変わることがありませんが、合同会社については社員の異動により資本金がかわります。
これは会社に対する所有と経営が分離されている株式会社と、出資者が業務の執行を行う合同会社とで違うからです。
合同会社の特則
持分会社では、社員の一部払い戻しや退社に伴う持分の払い戻しにより、資本金が減少することになりますが、それ以外にも損失補填による資本金の減少が認められています。
合同会社では、債権者保護の見地から社員が出資の一部払い戻しにより、定款の定めによって出資の価額を減少させる必要がありますが、剰余金の額又は定款の変更により減少することとした出資の額いずれか少ない額を超えることはできません。
また、合同会社が出資の払い戻しにより資本金が減少する場合において、減少する資本金の額は出資払戻額から出資の払い戻しをする日における剰余金を控除した額を越えることはできみません。
合名会社や合資会社と違って無限責任社員のいない合同会社においては、債権者保護のため、出資の払い戻しに制限をかけ、また払い戻しにおける金額にも制限をかけています。
また、資本金を減少する場合には官報に掲載するなどして通知することが必要です。これは持分会社においては合同会社だけが株式会社と同様に有限責任社員しかいないためです。
定款の変更
持分会社は、合名会社・合同会社・合資会社からなり、無限責任社員・有限責任社員からなります。定款を変更することで種類の違う他の持分会社に変更することができます。
定款の変更については、総社員の同意を得ることにより可能ですが、あらかじめ出席社員の4分の3以上の議決によって変更することができると要件を和らげることも可能です。
持分会社の変更の種類
■合名会社⇒合資会社へ変更
有限責任社員を加入させる
社員の一部を有限責任社員にする
■合名会社⇒合同会社へ変更
社員の全部を有限責任社員にする
■合資会社⇒合名会社へ変更
社員の全部を無限責任社員にする
社員の一部を有限責任社員にする
■合同会社⇒合名会社に変更
社員の全部を無限責任社員にする
■合同会社⇒合資会社に変更
無限責任社員を加入させる
社員の一部を無限責任社員にする
合資会社のみなし定款変更
合資会社においては、有限責任社員全員の退社あるいは、無限責任社員全員の退社によって合名会社あるいは合同会社に変更されるため、定款の変更があったものとみなされます。