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取締役会の開催と設立登記

新会社法

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株式会社・発起設立の場合

取締役会の開催:選出された取締役によって取締役会を開きます。取締役会を設置しない株式会社では取締役会が存在しないため、取締役の多数決により決まります。各取締役が業務を失効するとともに会社を代表します。

 

■決議事項
代表取締役(又は共同代表)の選任
本店所在地の町名、番地までの決定(定款に定めていなかった場合)
支店設置の決定
業務責任者(本店や支店の支配人)の選任

 

※通常、代表取締役は1名ですが、2名以上を選任することも可能です。この場合は共同代表となります。代表全員の同意がなければ代表権を行使できません。共同代表の1人が、自分の代表権の行使を他の代表に委ねることもできません。

 

※1人取締役の会社なら代表取締役の選出は不要です。また、有限会社の場合取締役会は開催しなくてもよいです。

 

取締役会の書面決議

今まで取締役会の開催には当事者が物理的に集まり開催されることが要求されてきました。が、取締役の1人が海外赴任をしていたり、社外取締役の場合など、物理的に集まることが困難であることが想定されるため、書面あるいは電磁的記録媒体による決議でも良いことが認められました。

 

ただし、その旨が定款によって定められていること、取締役が同意していること、監査役が反対していないことが条件となります。また、書面による決議が認められると、議決権を有する案件について形式的な承認となりがちになり、株主総会による任務懈怠責任の追及がなされる懸念があります。

 

これについては、取締役の判断が合理的な根拠と客観的な資料に基づいて行われたものであることを資料として残すべきであり、取締役会の決議に参加した取締役が議事録に異議をとどめない場合は決議を承認したものとみなします。

 

設立登記

設立登記申請書を作成し、登記申請します。その際に提出する書類は下記の通りです。

■提出書類
登記申請書
登記用紙と同一の用紙
登録免許税納付用台紙
定款
印鑑紙
印鑑届書
株式払込金保管証明書
調査書
取締役・監査役の就任承諾書
代表取締役の印鑑証明書
株式の引受を証する書類
取締役・監査役の選任を証する書類
取締役会議事録
代表取締役の就任承諾書

 

※現物出資がある場合、財産引継書、弁護士の証明書、有価証券の取引所の相場を証する書面、調査報告書などが必要となります。問題なく受理されれば、無事会社設立なります。その後、行政機関への届出や銀行口座開設の手続となります。これでめでたく会社が誕生することになります。

 

合同会社と既存会社の違い

新しく誕生した合同会社(日本版LLP)は、株式会社のように有限責任であるものの、会社内部の意思決定や利益分配については合名会社・合資会社と同様に組合の法理が適用される新しい類型の会社です。

 

また、有限責任事業組合(日本版LLC)は、民法の組合契約の特例として、出資者全員の有限責任が確保される制度です。法人格がないという点で合同会社(日本版LLP)とは大きく異なります。次に出資者・定款変更・内部関係・出資者と課税関係についてそれぞれ解説します。

 

出資者について

株式会社・特例有限会社:全員が出資額を限度とする有限責任
合名会社:全員が無限責任
合資会社:有限責任と無限責任両方が存在
合同会社:全が因果出資額を限度とする有限責任
民法上の組合:全員が無限責任

 

定款変更について

株式会社:株主総会の特別決議が必要
特例有限会社:株主総会で、総社員の半分以上かつ、総社員の議決権の4分の3以上を有する者の同意が必要
合名会社・合資会社・合同会社:総社員の同意が必要
民法上の組合:契約内容の変更として全員の同意が必要

 

内部関係について

株式会社・特例有限会社:商法に比較して定款による自治の拡大が認められた。
合名会社・合資会社・合同会社:内部関係の自律については、出資割合によらない配当ができるなど定款自治が原則であり、組合的な規律が適用される
民法上の組合:業務の執行は組合員の過半数で決める。

 

労務出資について

株式会社・特例有限会社:認められない
合名会社:認められる
合資会社:無限責任社員のみ認められる
合同会社:認められない
民法上の組合:認められる

 

パススルー課税

株式会社・特例有限会社・合名会社・合資会社・合同会社:適用なし
民法上の組合:適用あり

 

※パススルー課税とは、有限責任事業組合において、組合は納税義務者とならず、その損益において組合員が納税義務を負う制度です。例えば、合同会社の場合、会社という組織に法人税が課され、利益を配当された出資者にも課税がされます(配当課税)。

 

しかし、パススルー課税は有限責任事業組合そのものに対して課税はされず、出資額に応じた利益を分配された組合員(出資社)に対して、事業所得・不動産所得などの課税がされることです。

 

法人税が課されないために、法人と組合員の二重課税の問題は起こらないというメリットがあるので、租税回避に利用されやすく税制改正によって組合事業によって生じた損失の必要経費への不算入などの措置がとられることになりました。

 

 

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